場面緘黙症とは、症状、特徴
「場面緘黙症」という病気を知っていますか?
幼稚園〜小学校低学年くらいの子供に現れる事がある症状で、
知能は普通で家族とは話すのに、学校や幼稚園などに行くと人と話せなくなる症状です。
一日中誰とも話さない、話したとしても小声でほんの少しだけで、
話すことに対する不安や恐怖など心理的な事が原因で引き起こされます。
単に「無口な子」とは違う特徴もあります。
まず、家族や慣れ親しんだ人との会話ではとてもおしゃべりになります。
安心して話せる相手だからという事でしょうか。
それから、人との交流を避ける子が居る一方で、一言もしゃべらなくても集団の中に居る事を、
楽しんでいる子も居るそうです。
身振り手振りや表情で自分の意思を伝え、遊びに参加する事もあります。
必ずしも「他人と居るのが嫌」というわけでは無いのですね。
それから、しゃべれない事意外にも幼稚園、学校での生活について、
悩みを伴っているケースが多いようです。特に多いのが「分離恐怖」と言われている物です。
家を出て親と離れる事や別室で寝るのを嫌がり、親の身に何か起こるのではと心配している状態です。
場面緘黙の子供のうち、2割?3割に分離恐怖が見られるそうです。
また、「学校のトイレを使うのが怖い」という気持ちもよく見られます。
授業中トイレに行きたくなったら先生に許可を貰う必要があり、
その際周りから注目される事を恐れていると見られます。
給食が全部食べられなくて悩んでいるケースも少なくありません。
場面緘黙症 事例
場面緘黙の事例で多いのは、「幼稚園の頃は人見知りでおとなしい性格だと思っていたけど、
小学校に上がっても全くしゃべらないので心配になって病院で診てもらったら、
場面緘黙症と診断されました。」という事です。恥ずかしがりやの子供も大勢居ますので、
確かに区別がつきにくく、病気だとは思わないケースが多いのですね。
ある男の子は10歳になって初めて診断を受け、治療を開始したそうです。
始めは体もこわばり、緊張状態でとても話せなかったとの事ですが何回か通ううちに、
受付の人に「こんにちは」とあいさつができるようになり、
2年ほど通って場面緘黙を克服できたそうです。
その間、テニスクラブに入部したり日常生活でも次第に楽しく会話ができるようになって行きました。
「どうしてそんなにしゃべれるようになったの?」と本人に聞いてみたら、
「自分が勇気を持っていなくちゃいけないと思ったから。」と答えてくれたそうです。
やっぱりしゃべる事が不安だったのですね。
実を言うと、私も場面緘黙だったと思われる時期が、短期間でしたがありました。
その時思っていたのは「しゃべっても無視されたら傷つく」という事です。
また、発音が良く無く、「え?」と聞き返される事が多かったのも理由のひとつです。
クラスに気にかけてくれる子が居た事と、「言葉の教室」のおかげ病院には行かず、
気が付いたら治っていましたが「しゃべるのが怖い」という気持ち、よく分かります。
このように、10歳から治療を始めて治った例もありますので、
焦らずあきらめずしっかりと取り組めば良くなる見込みは十分にあります。